「家を建てる!」と決めてから、完成したマイホームに入居するまでには、それなりに長い期間を必要とします。さらに、事前の準備や複雑な手続きなど、多くの方が想像する以上にやることは沢山あります。
そんな多忙なスケジュールを円滑に進めるには、「家が建つまでの流れと入居までの手順」を前もって知っておくことが大切です。また、その流れにそって必要な手続きを「やることリスト」にまとめておくと後がラクです。そこで今回の記事では、
- 何からはじめる?家を建てるために最初にすること
- 家が建つまでの流れや手順、全体のスケジュール
- 家を建てるのに必要な予算や費用について
「家を建てる流れや手順」をテーマに、家づくりを検討してから入居までに必要な手続きと準備、知っておきたい予算や費用のことなど、分かりやすくご紹介します。
何から始める?期間はどれくらい?家を建てる全体の流れ
まず始めに、家を建てるまでの全体の流れを見てみましょう。大きく分けて、「下準備」「計画」「設計」「工事」「完成」と5つの流れで進めていき、短くても9ヵ月ほど、長ければ1年以上の期間をかけて家を建てます。
家が建つまでの期間はどれくらい?
「下準備」からスタートして「完成・入居」のゴールまで、大まかな流れと手順にあわせて家が建つまでの期間を見てみましょう。
期間 | 流れ | 手順 |
---|---|---|
1ヵ月~ | 下準備 |
|
1ヵ月~1年以上 | 計画 |
|
1ヵ月~5か月 | 設計 |
|
3ヶ月~6ヶ月 | 工事 |
|
1ヵ月程度 | 完成 |
|
それぞれの手順にかかる期間はさまざまですが、一般的に「家を建てる」と決めてから「入居」まで、およそ9ヵ月~15ヵ月ほどの期間が必要になります。この中でも、計画の「土地探し」と「ハウスメーカー選び」に十分な時間をかける方が多いです。
「家が建つまでの期間」については、下記のページでも詳しくまとめています。それぞれの工程と必要な期間、やることリストを確認したい方はこちらの記事も参考にして下さい。
家を建てるにはまず何から始めるべき?
家が建つまでの流れと手順の「やることリスト」を確認する前に、
そもそも「家を建てるには何から始めればいいの?」と考える方もいるのではないでしょうか?そんな方はまず、「下準備」の工程のうち「情報収集」と「イメージづくり」から始めてみましょう。詳しい手順は、
- 今の暮らしの不満をまとめる
- 家づくりの希望をリストアップする
- 間取り・デザイン・設計の優先順位を決める
- 住宅カタログ・商品プランの画像からイメージに近い家を調べる
- 家族全員でイメージを共有して住まいの全体像を固めていく
という流れで進めます。
「家を建てるにはまず何から始める?最初にすること4つのポイント」では、こうした家づくりの準備や流れを詳しくご紹介しています。家づくりのイメージ固めがまだという方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
家が建つまでの流れと入居までの手順「やることリスト」
「家を建てるにはどのような流れで進めるのか?」
「家を建てるための手順や準備、やることは何?」
という方、家が建つまでの流れと入居までの手順を「24の項目」にわけて、それぞれの項目で必要な準備を「やることリスト」にまとめてみました。
流れ | 手順 | やることリスト |
---|---|---|
下準備 | 情報収集 |
|
イメージづくり |
|
|
希望の優先順位リスト作成 |
|
|
計画 | 予算・資金計画を立てる |
|
ハウスメーカー選び |
|
|
土地探し |
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|
設計 | ローンの事前審査 |
|
土地の売買契約 |
|
|
敷地・地盤調査 |
|
|
設計・間取りのプランニング |
|
|
見積もり比較 |
|
|
依頼先の決定 |
|
|
工事請負契約 |
|
|
住宅ローンの申請 |
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建築確認申請 |
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工事 | 地鎮祭 |
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着工 |
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|
基礎工事 |
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|
上棟式 |
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|
工事完了 |
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|
竣工・引き渡し |
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|
完成 | 登記 |
|
住宅ローンの実行 |
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入居 |
|
【手順.1】情報収集とイメージづくり
「家を建てる」と決めたなら、まず始めにやることは「家づくりの情報収集」と「暮らしと住まいのイメージづくり」の大きく2つ。その上で「家づくりの優先順位リスト」を作成します。
情報収集
まずは、「家を建てるために必要な情報」を集めます。手軽に調べられるインターネットの活用や住宅情報誌の購入など、手の届きやすいことから始めてみましょう。たとえば、
- 家を建てるための準備や手順
- 土地や建物の費用相場
- ハウスメーカーの特徴や間取りプラン
- 外観デザインの種類、収納のアイデア
- 家づくりブログの体験談やインスタグラムのルームツアー
などです。
もうひとつ、情報収集とあわせてこの先の「イメージづくり」「優先順位リスト」をまとめるために「家づくりノート」を用意しましょう。形に残せるノートであればなんでも大丈夫です。
イメージづくり
「新しい住まいでどんな暮らしがしたいか?どんな家を建てたいか?」家づくりのイメージを書き出して具体的にしていきます。
- 今の住まい・暮らしの不満点をまとめる
- 家づくりの希望や要望をリストアップする
- 住宅カタログ・商品プランの画像からイメージに近い家を調べる
- 家族全員でイメージを共有して住まいの全体像を固める
この時、住宅カタログを取り寄せて、外観デザインや間取り・設備など、イメージに近い画像を切り取って、スクラップブックのようにノートにまとめるのも有効です。
また、家づくりのイメージがある程度固まってきたら、大手ハウスメーカーが開催する住宅展示場へ足を運んでモデルハウスを実際に見学してみるのもオススメです。
優先順位リストの作成
「予算や費用」「土地や立地」「性能や品質」「間取りや広さ」「設備や仕様」「デザイン性」「住み心地」「使い勝手」など、家づくりの条件やこだわりを大まかな項目に分けて、優先順位をつけていきます。たとえば、
予算や費用のバランス |
|
---|---|
土地や立地の条件 |
|
家の性能や品質 |
|
間取りや広さ |
|
などです。あくまで例ですが、「絶対に譲れない:◎」「出来れば欲しい:○」「妥協できる:△」と、段階をつけておくと優先順位の整理がしやすいです。
【手順.2】予算の検討・資金計画を立てる
家づくりのイメージ固めと優先順位のリストがまとまったら、次に「予算や自己資金」「資金計画」といった、家を建てるための費用シミュレーションを行います。
予算・自己資金の検討
まず、家を建てるための費用相場から見ていきましょう。
住宅金融支援機構が公表する「2020年度フラット35利用者調査」データによると、注文住宅を建てるための「建物代」「準備資金」「世帯年収」、それぞれの平均でみると
地域 | 建物代 | 準備資金 | 世帯年収 |
---|---|---|---|
全国平均 | 3533.6 万円 | 617.7 万円 | 594.2 万円 |
三大都市圏 | 3739.3 万円 | 690.8 万円 | 619.2 万円 |
首都圏 | 3808.5 万円 | 749.8 万円 | 629.5 万円 |
近畿圏 | 3741.5 万円 | 647.6 万円 | 617.3 万円 |
東海圏 | 3606.3 万円 | 622.8 万円 | 601.5 万円 |
その他地域 | 3355.9 万円 | 554.6 万円 | 572.6 万円 |
出展:住宅金融支援機構「2020年度フラット35利用者調査データ」
とのことです。また、土地がある場合と土地がない場合、全国平均の費用相場でみると、土地を持っている人の建物代は「3533.6 万円」なのに対して、土地を持っていない人の費用は「4397.3 万円」、その差額は「863.7 万円」という結果でした。
地域別でみると、土地の価格が高い首都圏では「1353.5 万円」もの大きな差額になります。家を建てる地域によって建物代と土地代をあわせた総額費用が大きく違ってくることを覚えておきましょう。
また、土地代と建物代の費用のバランスを知っておくことも重要です。
この土地代と建物代の費用の割合、ちょうどいいバランスが「3:7」、もしくは「4:6」と言われています。
資金計画を立てる
「資金計画」とは、家づくり全体の総額費用から月々の返済までをシミュレーションすることです。大きく「建築費用」「自己資金」「返済計画」の3つをそれぞれ決めておきます。
家づくりの費用シミュレーションに必要な準備として、
- 家づくりの「価格帯・相場」を知る
- 新築一戸建ての「費用の内訳」を知る
- 準備できる「頭金・自己資金」を考える
- 「住宅ローンの返済額」を考える
- 「建物代」と「土地代」のバランスを考える
この5つを順番に検討していくと資金計画は立てやすいです。また、ページ後半の「家を建てるための予算や費用について」では、費用の内訳や返済計画の立て方などを詳しくご紹介します。
【手順.3】ハウスメーカー選び・土地探し
家を建てるための予算の検討、費用シミュレーションができたら次に、「ハウスメーカー選び」と「土地探し」を行います。それぞれ別々にご紹介していますが、
- 土地の条件によってイメージする家が建てられないケースがある
- 土地探しも一緒に手伝ってくれるハウスメーカーも数多い
- 土地購入時のローン事前審査で建物プランの資料を揃える必要がある
こうした理由から、「ハウスメーカー選び」と「土地探し」の手順はワンセットで考えるようにしましょう。
ハウスメーカー選び
ハウスメーカーを選ぶ際には、はじめから大手の有名企業ばかりに目を向けるのではなく、さまざまなメーカーを比較することが大切で、また条件によっては「工務店」や「設計事務所」が有力な候補になるケースもあります。
まず、ハウスメーカー、工務店、設計事務所の違いを知ることからはじめて、それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
その上で、複数のハウスメーカーの特徴を比較して、候補となる会社を複数社に絞り込んでいきます。
- ハウスメーカーの特徴・工法・価格帯を知る
- 注文住宅のカタログ一括請求サービスで資料を取り寄せる
- ハウスメーカーの比較条件を整理する
- 住宅展示場に足を運んでモデルハウスを見学する
「【手順.1】情報収集とイメージづくり」でもご紹介しましたが、複数のハウスメーカーから好みの住宅プランをいくつか選んでいくために、「注文住宅のカタログ一括請求サービス」を利用します。
カタログ請求サービスの特徴や使い方など、下記のページで詳しくまとめていますので、コチラも一緒にご覧になって下さい。
また、候補のハウスメーカー、気になる商品プランが決まったら、住宅展示場に足を運んでモデルハウスを見学してみましょう。インターネットでは見えてこない実際の住み心地や使用感を疑似体験できます。
ただし、モデルハウスは基本「グレードの高い設備」が整っていたり、担当者から「強めの営業トークを受ける」など、独特の雰囲気に流されてしまいがちです。そのため、
- 家を建てるための必要な知識を身に付ける
- 住宅メーカーの候補がある程度決まっている
- 住宅展示場での目的がハッキリと決まっている
など、家づくりの準備が整ってから住宅展示場に足を運ぶようにしましょう。
土地探し
家を建てるにはまず、土地を購入しなくてはいけません。
土地を探し始める前に、まず「住みたい地域」「土地購入の予算」「土地の条件と優先順位」、この三つを決めておくようにしましょう。また土地の探し方には、
- インターネットの不動産情報サイト、土地情報サイトなどで探す
- 不動産会社に依頼して条件にあった土地を探してもらう
- ハウスメーカーや工務店に依頼して探してもらう
- 希望エリアに足を運んで自ら土地を探す
大きく4つの方法があります。不動産会社に土地探しをお願いするのが一般的ですが、ハウスメーカーなど施工会社に手伝ってもらうケースも多いです。その場合、「家づくりの条件に合わせた土地を紹介してもらえる」「土地を含めた住宅ローン手続きができる」など、さまざまなメリットを得ることができます。
【手順.4】ローンの事前審査・土地の購入
条件にあった土地が見つかったら、金融機関のローン事前審査(仮審査)を受けて、土地購入の申込み、そして土地の売買契約を交わします。
この土地の購入手続きから、「手付金」「諸費用」といった費用が発生して手続きも少し複雑です。土地購入の流れだけでなく、支払いが発生するタイミングもあわせて確認しておくようにしましょう。
ローンの事前審査(仮審査)
土地購入の流れ | 発生する費用 | 住宅ローン利用の流れ | |
---|---|---|---|
1 | 土地の申込み | – | 事前審査 |
2 | 土地の売買契約 | 手付金(土地代の5%~10%) 諸費用(土地代の6%~10%) |
事前審査 |
3 | 土地の引き渡し | 土地残金 | – |
上記の表は、「住宅購入の流れ」と「発生する費用の目安とタイミング」、「住宅ローン手続きの流れ」をまとめたものです。
まず、土地を購入するためには「土地の申込み」とあわせて「ローン事前審査(仮審査)」を受けます。家を建てる方の多くが住宅ローンを利用しますが、原則、住宅ローンは「住宅購入」が対象となるため土地の購入には利用できません。
ただし、「住宅を建てる場合を前提」とした場合に限って、「土地先行融資」や「つなぎ融資」といった制度を利用して、土地購入のタイミングで融資を受けることができるのです。そのため、ローンの事前審査が必要となってくるわけです。
- 土地先行融資とは?
-
土地先行融資とは、注文住宅を建てる土地の購入費用を先行して融資を受けられる制度のこと。土地の購入時と建物の完成時、2回に分けて融資を受けられる仕組みから「2本立て住宅ローン」とも呼ばれています。
土地先行融資を利用する大きなメリットは、土地に抵当権を設定するため後述の「つなぎ融資」よりも低い金利で融資を受けられること。一方デメリットは、建物の着工代金や中間費用は自己負担で支払う必要があり、事前審査時、土地の情報だけでなく建物のプラン資料も同時に揃える必要があります。
- つなぎ融資とは?
-
つなぎ融資とは、住宅ローンの融資が実行されるまでの費用を、必要なタイミングで融資を受けられる制度のことです。つなぎ融資の大きなメリットは、土地の購入費だけでなく建物の着工代金や中間費用の支払いにも利用できること。一方デメリットは、「土地先行融資」より金利が高めに設定されていることです。
また、金融機関の中には、概要だけの建物資料でも借入できるケースがあります。
土地の売買契約
金融機関のローン事前審査が通れば、申込みしていた土地の「売買契約」を結びます。この売買契約を締結するにあたって、仲介する不動産会社の宅地建物取引士から「重要事項説明」が行われます。
法令上の制限や敷地の状態、排水施設の状態など、聞きなれない言葉が続きますが、分からない部分があれば説明をしてもらい納得してサインをするようにしましょう。事前に重要事項説明書の内容を確認しておくのもいいでしょう。
また、土地の売買契約の締結には「手付金」と「諸費用」が発生します。
- 土地の売主への手付金:土地価格の5%~10%程度
- 契約書の印紙税:収入印紙代(売買代金によって異なる)
- 不動産会社への仲介手数料:契約時と引渡時に「半金」ずつ払うの一般的
【手順.5】建物のプランニング・見積もり比較・依頼先の決定
土地の申込み・購入手続きを進めるのと合わせて、家づくりを依頼するハウスメーカー、工務店の候補を数社ピックアップして一社に選びます。
施工会社の担当者と打合せを重ねて「建物のプランニング」に取り掛かります。希望の条件に合った間取りプラン、外観デザイン、設備や性能など、ぴったりの建築プランを提案してもらいましょう。
設計・間取りのプランニング
下準備で用意した「家づくりのこだわり条件」「住まいの優先順位リスト」をもとに、ハウスメーカー(工務店)の担当者と打合せを重ねて、間取りパターンや外観パースなどを提案してもらいます。その際、
- こだわりの実現
- 流行やデザイン性
- 広さや空間活用
- 動線の使いやすさ
- 開口部の有効性
- 収納スペース
- 敷地の特性
など、こうしたプランニングの検討材料をもとに、理想の住まいづくりを叶えてくれる「1社」を選びます。同じ条件と希望を伝えて、複数のプランニングを比較するようにしましょう。
見積もりの比較
設計・間取りのプランニングを検討した上で、設計プランとあわせて見積もりの作成を依頼します。候補の会社を2~3社に絞り込んで、概算見積もりの比較ができるようにしましょう。
見積もり書には、多くの場合「建築費(本体工事費)」「諸費用」「別途工事費(その他工事費)」3つの項目が記載されています。(会社によって書式・内容はざまざまです。)
一見安くみえる見積もり書だとしても、書式や内容に定めがないため「総額だけでなく、どこまでの費用が含まれているのか?」その内容をしっかり確認するようにしましょう。
その上で、
- 総額費用が予算におさまるかどうか?
- 見積もりが「上がるか?」それとも「下がるか?」
- 見積もり依頼から提案までの担当者の印象
こうしたポイントに注意をしながら見積もりを比較してみましょう。
家づくりの依頼先を決定
ハウスメーカー、工務店から提案された「設計・間取りプラン」「見積もり書」を比較して、家づくりの依頼先を決定します。
候補を決めかねているなら、ハウスメーカーが開催する「現場見学」や「工場見学」に参加してみるのも有効です。より具体的なイメージを掴むために、一度担当者に問い合わせてみましょう。
【手順.6】工事請負契約・住宅ローン申請
家づくりの依頼先が決まったら「工事請負契約」を結びます。
工事請負契約に問題がなければ、市区町村役場などに「建築確認」を申請して、建築許可を得て、住宅ローンの本審査・契約へと進みます。
工事請負契約(本契約)と建築確認の申請
工事請負契約とは、施工会社と施主との間で交わす「どんな家を」「いくらで」「いつまでに建てる」といった約束が明記された契約のこと。「本契約」とも呼ばれています。
この工事請負契約書、かなりのボリュームの書面で作成されますが、
- 「工事請負契約書」の請負代金と工事のスケジュール
- トラブルが生じたときの対応「約款」の内容
- 「見積書・設計書・仕様書」の内容
大きく3つを必ず確認するようにしましょう。
また、設計プランや仕様内容を詳細まで、しっかりと決めてから工事請負契約を交わすことが大切です。
もし、設備のグレード調整や設備の漏れなどがあった場合は「変更契約」を結ぶことが可能です。ただし、窓の位置や大きさなど大幅な変更があった場合には「建築確認の再申請」が必要で、追加費用や工期の延長が考えられるので注意が必要です。
工事請負契約に問題がなければ、市区町村役場などに「建築確認」を申請して、建築許可を得ます。
「契約金」と「印紙代」の支払い
工事請負契約を交わす際には「契約金」と「印紙代」を支払う必要があります。
契約金とは、工事代金の一部に充てられる費用のことで、およそ「工事代金の5%~10%」が目安とされています。この契約金、施主の一方的なキャンセルがあった場合には返金されないことが多いので注意をしましょう。
また、印紙代とは、契約書に貼り付ける「収入印紙(印紙税)」のこと。契約内容によって金額はさまざまですが、印紙代は1万円で収まるケースが大半です。
住宅ローンの本審査
工事請負契約を交わして市区町村から建築許可が下りれば、金融機関のローン本審査を受けます。住宅ローンの本審査が通れば、金融機関と住宅ローンの契約を結びます。(土地の売買契約を結ぶタイミングで本審査となるケースもあります。)
「【手順.4】ローンの事前審査・土地の購入」でもご紹介しましたが、一般的に住宅ローンが実行されるタイミングは「契約時」ではなく「建物の完成時」です。建物が完成する前の支払いに関しては、「つなぎ融資」か「土地先行融資」といった制度の利用、もしくは「自己資金」で賄う必要があります。
工事請負契約に記載された代金支払いのタイミングと住宅ローン実行のタイミング、この2つを必ず確認するようにしましょう。
【手順.7】地鎮祭・着工・基礎工事・上棟式
地鎮祭(じちんさい)
地鎮祭とは、土木工事や建築工事を行う際に、工事が無事に終わるように神主を招いて安全祈願をする儀式のこと。また、工事が棟上げまで終了した際に行う「上棟式」などもあります。地鎮祭を行うかどうかは施主の判断で、必ず必要な儀式というわけではありません。
地鎮祭の費用は、神主への御礼と渡す「玉串料(初穂料)」で2万~5万円ほど、「お供え物」と「お車代」で2万円前後が相場とされています。また、近隣への挨拶回りで渡す「粗品代」一つで2千~3千円程度です。
地鎮祭にかかる全体の費用で「総額10万円前後」とみておくといいでしょう。
着工・基礎工事
いよいよ家の建築工事「着工」が始まります。
工事が始まると、まず「地盤改良」と「基礎工事」が行われます。住宅の足元になる地盤と基礎部分の重要な工事だけに、可能であれば現場に足を運んで工事の経過をチェックしておくといいでしょう。また、工事の進捗を把握できることで家づくりの実感が得られるはずです。
【手順.8】工事完了・竣工・引き渡し
建物が完成(竣工)したら、適切な工事ができているかどうかの検査が複数回実施されたのち、引き渡しが行われます。竣工から引き渡しまで、
- 竣工
- 施工会社による自社検査
- 専門機関による完了検査
- 検査済証の発行
- 施主による竣工検査(内覧会)
- 引き渡し
上記のような流れで進められます。
建物の引き渡しがされる前に、不具合や傷などがないか?施主が立ち会って最終的なチェックをします。気になる部分が見つかった場合は、修正してもらって正式な引き渡しとなります。
【手順.9】登記・住宅ローンの実行・入居
引き渡しが完了すれば、「建物の表示登記」と「所有権の保存登記」を行い、住宅ローンが実行され「融資の開始」、そして「入居」となります。
新築の家を建てる場合、住宅ローンとつなぎ融資を利用する方が多く、着工から竣工までに発生する「中間金」はつなぎ融資を利用して、住宅ローンの実行(融資)がされてから「残代金」の支払いが発生します。
また、入居時には近隣の方への挨拶を済ませて、引越し前には「電気」「ガス」「水道」などの手続きも忘れないようにしましょう。
家を建てるための予算や費用について
家を建てるための予算や費用を検討するためには、大きく「建築費用」「自己資金」「返済計画」の3つを軸にした資金計画を立てる必要があります。
そのうち、注文住宅を建てるための費用は大きく「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」3つに分けることができます。
本体工事費
本体工事費とは、家を建てるための費用のことで「建築費」を指します。総額費用の「7割~8割」がこの本体工事費が占め、その内容は「仮設」「基礎」「構造体」「屋根」など、さまざまな工事が含まれます。
費用の内訳 | 工事の内容 |
---|---|
仮設工事費 | 足場や仮設トイレ、廃材のゴミ箱などの設置 |
基礎工事費 | ベタ基礎や布基礎など、家の土台となる部分の工事 |
躯体工事費 | 躯体(くたい:建築構造を支える骨組み)を組む工事 |
建具工事費 | 室内のドアや襖(ふすま)などを取り付ける工事 |
内装工事費 | 建物内の壁や天井、床を取り付ける工事 |
断熱工事費 | 断熱材を設置する工事 |
タイル・左官工事費 | 玄関や風呂などのタイル貼り、左官(壁塗り)する工事 |
ガラス・サッシ工事費 | 窓ガラスの取り付け、防水工事 |
屋根板金工事費 | 屋根に瓦や建材、雨どいなどを設置する工事 |
外壁工事費 | 外壁の塗装をはじめ、外壁の仕上げ全般の工事 |
防腐・防蟻処理工事費 | シロアリ対策や防腐作業 |
空調工事費 | 24時間換気システムや空調ダクトを設置する工事 |
電気工事費 | 電気の配線やコンセントを設置する工事 |
配管工事費 | 水道やガスなどの配管工事 |
設備品の設置工事費 | キッチン、風呂、トイレなどの住宅設備の設置工事 |
内装仕上げ工事費 | 壁や天井に塗装や壁紙を貼り、装飾を仕上げる工事 |
付帯工事費
付帯工事費とは、先ほどご紹介した家本体の建築以外にかかる費用のことで、家を建てる総額費用のうち「2割~3割」がこの付帯工事費が占めます。
たとえば、フェンスや門扉、アプローチや庭の植栽など「外構工事」をはじめ、「屋外給排水工事」や「解体工事費」「地盤改良費」などが付帯工事費に含まれます。
内訳 | 内容 |
---|---|
解体工事費 | 元々住んでいた家など、土地に古い建物がある場合の解体工事 |
地盤調査費 | 家を建てる土地の性質や強度を調べる調査 |
地盤改良工事費 | 家の安定性を保つために地盤を補強する工事 |
引き込み工事費 | 水道・ガス・電気などのライフラインをその土地に引き込む工事 |
敷設工事費 | 土地に引き込んだライフラインを家の内部に引き入れる工事 |
外構工事費 | 門柱や門扉、カーポート、塀やフェンスなどの設置を行う工事 |
造園工事費 | 庭の石垣や植栽などを行う工事 |
屋外電気工事費 | 屋外の照明や給排水設備の設置を行う工事 |
特殊設備工事費 | 太陽光発電などを取り付ける場合の追加工事 |
空調設備工事費 | エアコン本体や室外機、換気扇などを取り付ける工事 |
照明器具工事費 | シーリングライトやダウンライトなどの照明器具を取り付ける工事 |
カーテン工事費 | カーテンやブラインドの取り付けを行う工事 |
設計料 | 設計事務所や建築家に設計を依頼した場合の費用 |
諸費用
諸費用とは、建築工事をのぞく費用のことです。たとえば、各種手続きの費用や税金などがこの諸費用に含まれます。総額費用の「1割程度」、「100万~150万円前後」が費用の目安とされています。
諸費用の支払いは、それぞれの手続きを進めるタイミングで現金払いとなるケースが多く、その支払い額も大小さまざまです。そのため、どのような手続きにいくらの費用が必要なのか?支払いのタイミングはいつなのか?あらかじめ確認・準備しておくようにしましょう。
費用の種類 | 内容 |
---|---|
登記手数料 | 所有権の移行や家を担保にすることを登記するための費用 |
融資手数料 | 金融機関からローンを借りる場合の手数料 |
つなぎ融資手数料 | 工事期間に必要な費用を一時的に銀行から借りるための手数料 |
住宅ローン保証料 | ローン保証会社に保証をしてもらった場合の費用 |
団体信用生命保険料 | 住宅ローンの契約者が返済能力を失った時(死亡など)、残金が弁済される保険 |
火災保険料 | 火災による損害を補填する保険 |
地震保険料 | 地震による損害を補填する保険 |
仲介手数料 | 仲介業者に支払う費用 |
印紙税 | 売買契約書や工事請負契約書を作成する際に貼る印紙の代金 |
消費税 | 2019年10月1日より8%→10%へ引き上げ |
登録免許税 | 登記にかかる税金。登記手数料とは別に国に支払う |
固定資産税 都市計画税 |
その年の1月1日付けの所有者に対して課税される税金。所有権が買主に移転する日付で日割り計算した差額を支払う |
不動産取得税 | 不動産の取得にあたって、都道府県に支払う税金 |
家を建てるための費用をシミュレーションしてみよう!
ここまでご紹介した「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の内訳から、家を建てるための大まかな費用シミュレーションができるようになります。
【費用シミュレーションの例】一条工務店の注文住宅を建てた場合
商品プラン:一条工務店「アイ・スマート」
坪単価の目安:60万円~
延床面積:40坪
本体工事費 | 60万円 × 40坪 = 2400万円 |
---|---|
付帯工事費 | 532万円 |
諸費用 | 265万円 |
総額費用(税抜き) | 3197万円 |
返済計画の例
年収:650万円
借入額の希望:3000万円
借入希望額 | 3000万円 |
---|---|
金利 | 固定金利:1.5% |
返済期間 | 35年 |
ボーナス払い | ボーナス併用 |
総返済額 | 41,112,609円 |
毎月の返済額 | 97,887円 |
いかがでしたか?
あくまで参考例となりますが「建物の総額費用」と「借入・返済額」から、費用のシミュレーションをすることができます。
また、費用シミュレーションについては、Web上で簡単に利用できるサイトが数多くあります。改めて別のページにて詳しくご紹介します。
まとめ
「家を建てる流れや手順」をテーマに、家づくりを検討してから入居までに必要な手続きと準備、知っておきたい予算や費用のことなど、ご紹介してきましたがいかがでしたか?
「家を建てるにはどのような流れで進めるのか?」
「家を建てるための手順や準備、やることは何?」
といった疑問、解決できたのではないでしょうか?また、今回ご紹介した内容をまとめると、
- 家ってどれくらいで建つの?
-
家を建てるための下準備からはじめて完成・入居までの期間は「短くても9ヵ月」「長ければ1年以上」が目安です。
- 家を建てる流れや手順は?
-
家を建てる流れは大きく「下準備」「計画」「設計」「工事」「完成」と5つ。下記の手順で進めて家を完成させます。
- 情報収集・イメージづくり
- 希望の優先順位リスト作成
- 予算・資金計画を立てる
- ハウスメーカー選び
- 土地探し
- 土地の売買契約
- 敷地・地盤調査
- 建物・間取りのプランニング
- 見積もり比較
- 依頼先の決定
- 建築請負契約
- 住宅ローンの申請
- 建築確認申請
- 地鎮祭・着工
- 基礎工事・上棟式
- 工事完了・竣工・引き渡し
- 登記・住宅ローンの実行・入居
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- 家づくりの希望や条件を指定して検索・比較ができるので、建てたい家のイメージに合ったカタログを無駄なく集められる!
- カタログ請求すれば無料で貰える!理想の家づくりに役立つヒントが凝縮された特典資料「はじめての家づくりノート」
LIFULL HOME'Sのカタログ一括請求を利用すれば…。
「はじめての家づくりノート」を使って、予算の組み方や住宅ローンのことや
スケジュールの立て方など、家づくりに必要な知識が身についた!
気になった住宅メーカーのカタログ資料を見ていくたびに、
住宅設備の工法や構造の違い、ハウスメーカーの特徴まで人一倍詳しくなれた!
漠然としていたマイホームへの憧れが、
家族全員の希望や要望を叶えるための「理想のマイホームプラン」へと大きく形が変わった!
ひと昔まえなら当たり前だった『住宅展示場にとりあえず行ってみようか…。』が、今では『家づくりの情報は自宅にいながら効率よく取り寄せる。』が当然の時代に。インターネットを有効活用する皆さんであれば、これを使わない手はありません。
ちなみに、手当たり次第に住宅カタログを取り寄せた筆者を例にすると…。
大手ハウスメーカーから工務店にいたるまで、たくさんのカタログ資料がドッサリ届きました。
LIFULL HOME'Sさんによると『注文住宅を検討する人は平均5.7社に問い合わせる』とのことです。理想の家づくりを成功させるために、住宅カタログ比較・一括請求サービスは本当に役立つオススメの手段です。少しでも興味を持たれた方は是非一度、お試しでサイトにアクセスしてみて下さい。
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理想の家づくりに向けて。
まず始めにやるべきことは「住宅カタログ」を手元に揃え「住まい・暮らしのイメージ」を固めるコトから。
注文住宅カタログには、理想の家づくりに役立つ"住まいの工夫"や"暮らしのアイデア"が一冊の資料にまとめられています。
手間を掛けずに効率よく家づくりに必要な情報を集めるために、住宅カタログの一括請求・資料の活用方法をご紹介します。理想の家を建てたいと願う方なら必見の情報です!!